「離乳」とは、母乳だけを飲んでいた赤ちゃんが母乳以外の食べ物を徐々に食べられるようになっていく過程をいいます。急に大人と同じ食事を食べられる訳ではありませんので、食事内容から見ると、初めは流動状、そして半固形食、固形食へと移行していきます。
それに併せて赤ちゃんの機能も発達していき、飲み込む事から噛む事ができるようになっていきます。離乳の最終的な目標は大人と同じものが食べられるようになることです。
そのために、始めはドロドロしたもの、次にツブツブしたもの、大人より柔らかくしたものを根気よく与え、1年くらいかけて大人と同じ食事に近づけていきます。
離乳食の進み具合は個人差があります。最初から難なく食べる赤ちゃんもいれば、なかなか食べてくれない赤ちゃんもいます。特にミルクをあまり飲まない赤ちゃんは、離乳食もあまり食べない傾向があります。
なかなか食べてくれないからと言って、焦る必要はありません。成長するにしたがって、ちゃんと食べてくれるようになります。離乳の基本は赤ちゃんに合わせてあげることですので、焦らず進めていきましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんはアゴも各臓器も未発達なので、栄養摂取には負担をかけない母乳が最適です。しかし成長するにつれて母乳だけでは量が不足してきます。また栄養面でみても、赤ちゃんの成長に必要なタンパク質やミネラルが不足するようになってきます。
しかし、最近の調整乳(ミルク)は母乳に近く作られており、母乳に不足している栄養素が補われているため、与える量を増やしたりする事でかなりの月齢までミルクだけでも育てる事ができるようになっています。
栄養面だけで見れば昔ほど慌てて離乳を始める必要はない事になりますが、離乳時期で最も大切な事は、舌やアゴを動かして飲み込んだり噛んだりする事を覚える事なのです。この舌やアゴを動かすことは言葉をしゃべる準備段階でもあるのです。
また、さまざまな食品を食べさせる事で母乳以外にたくさんの食べ物がある事を教え、味覚を育てていく事も大切です。
赤ちゃんのそしゃく(噛む事)能力を知ろう
離乳を進める上で大切な事は、赤ちゃんのそしゃく能力を知る事です。赤ちゃんは初め母乳を吸うことしか知らず、いきなり離乳食を与えてもうまく食べる事ができません。離乳は赤ちゃんのそしゃく能力に合わせて、徐々に食べ物の形態を変えていく必要があります。
逆に、慎重になりすぎていつまでもドロドロしたものばかり与えていると、アゴの発達が悪くなる事もあります。赤ちゃんのそしゃく能力を正しく理解して、適切な離乳食を与えていきましょう。
授乳期のそしゃく能力
赤ちゃんが母乳を飲むには、上あごと舌との間に乳首をぴったりと押さえ、舌を乳首を包み込むように前から後ろに蠕動運動させて、あふれ出た母乳を飲み込むようにしています。この時期は舌の動きが中心で、そしゃくへの準備段階といえます。
離乳初期(5〜6ヶ月)のそしゃく能力
この時期は乳首や哺乳ビンからミルクを飲んでいる状態から、スプーンなどを使って飲む事を覚えていきます。スプーンからうまく飲み込むためには、口を閉じる必要があります。これができるようになれば、次第にドロドロ状のものを与えていきます。
離乳中期(7〜8ヶ月)のそしゃく能力
口を閉じてうまく飲み込む事ができるようになったら、次は舌で食べ物を上あごに押し付けてつぶし、後ろに送って飲み込む事を覚えていきます。よってこの時期の離乳食は、舌で押しつぶせるくらいの硬さが適当です。
離乳後期(9〜11ヶ月)のそしゃく能力
舌で食べ物をつぶす事ができるようになると、次第に舌を左右に動かせるようになります。そうすると今度は食べ物を歯ぐきの上に移動させて、歯ぐきで食べ物をつぶして食べるようになります。よってこの時期の離乳食は、歯ぐきでつぶせるくらいの硬さが適当です。
幼児期のそしゃく能力
奥歯が生えてくる頃には舌がよく動くようになり、そしゃくはさらに上手になっています。そして奥歯で食べ物をすり潰すように噛む事ができるようになります。乳歯は2歳〜2歳半くらいで揃うので、2歳半頃までにこれらの機能が完成します。